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2017年7月23日 (日)

京都で飲む

久しぶりに京都に行った。と言うより立ち寄ったと言った方が正確か。

神戸での学会出席の前日に京都で古い友人と飲んだ。

京都駅から東本願寺へ。一応、真宗の門徒なので京都に来た時には時間があればお参りすることにはしている。なにかとお願いの向きもあるもので・・・。

修理も終わったようで大きな本堂の囲いはもう無い。

建物があまりにも大きく、人影がまばらだ。平日の午後、祇園祭の山鉾巡行とあと祭りの間の空白期、と言う事を考えればこんなものか。

広い本堂で静かに手を合わせ、願いの筋を聞き届けてもらえるよう祈った。

靴を履いて、砂利の上を歩くと一気に汗が噴き出る。やはり夏の京都は蒸し暑い!

三条堺町のイノダ本店で涼もうかとも考えたが、あまりの暑さにホテルに逃げ込む事にした。

御池のホテルオークラ、京都の定宿だ。

ホテルに着いた事をMくんにメールをすると5時前には迎えに来てくれるという。

それまで涼しい部屋で大相撲観戦で時間を潰した。

17時と早い予約をしてくれたのは祇園の「きた山」という小料理店、一力の筋の一本西側の細い路地、一見、お茶屋さんにしか見えない格子戸の中に店がある。

この時期はハモ、京野菜のしし唐、冷やし茶碗蒸しなどいかにも京都らしい料理でビールから冷酒にすすむ。

Mくんは至って元気そうだ。

以前、私からこんな事を言われたらしい。「おまえはいつも黒い服ばっかり着て、黒ずくめじゃないか。自分じゃカッコいいと思ってるかもしれないが、歳とって真黒なんて貧相にしか見えない。大体が痩せて貧弱なんだから貧乏臭くっていかん。もう少し明るい服を着たらどうなんだ!」と。

酔っていたとはいえまぁ、ストレートな事を言うもんだ我ながら・・・。友達だから言える事だ、許して!

で、Mくんはもっともだと思ったらしく、黒づくめは止めたらしい。その日はなんと真っ白なパンツに、ターコイズブルーとでもいうのだろうか、すごくきれいな色の緑のシャツを着ていた。

髪の毛も全く薄くはなっていないし、至って若々しく見える。そう、その方がずっと良い、と思いながらもかなり負けている感があった。

Mくん、飲むペースが早い。

話は近況報告から、親の亡くなった話、遺産相続のあれこれにまでに及ぶ、これもまた歳ゆえの話題だ。

遺産云々は難しい話だ。

自分のお金なら自分のものに違いないが、遺産となるとその権利は自分ばかりか親族にも及ぶ。そう簡単な話ではない。

ましてや、お金に対する考え方(感覚)は十人十色で、どんなに近くても分かり得ないデリーケートな部分がある。

だからお金は怖いものなのだ。

どうやらMくんは、その辺りでいろいろとストレスを抱えてもいるようだが、立ち入って見ても詮ない話なのでその話はお終い。

関西人の中で、不器用で朴訥な会津人が生き抜くのは決して容易なことではないのだろう・・・と、心中お察し申し上げた。

店を出てもまだ明るい。暑いのでタクシーに乗り、町屋を改造した「ザ・ドアー」と言うお洒落なバーへ向かった。

このバー、美人のバーテンダーが人気でMくんも一度行ってみたいと思っていた店らしい。

ちょうど良いのでダシにされて連れて行かれた訳だが、なんと!残念ながらその日は女性バーテンダーがお休み。昔っからこういう運の無さはMくんの得意技だ。

代わりに小倉久寛さんに似たバーテンダーが居たので笑えた。

なんでも、方々のホテルでバーテンダーをつとめていた有志が集まって作った店らしい。ホールも、カウンターの中もさすがに、皆ビシッとしている。

氷なしの冷えたハイボールが美味かった。

ここでもMくんハイピッチ、あっという間に3杯ほど飲んだ。

かなり出来上がったMくん「あそこはな~、おまえを連れて行きたくないんだよなぁ~」と言いながら、最近行きつけらしい非常に家庭的な小料理屋へと、三軒目。

『ももてる』という小さな店、カウンターに10人ほどで一杯の店だ。

エプロンをしたふくよかな、ももえママが全ての料理を目の前で作る。飲み物と雑用に娘みたいな年頃の女性が二人。二人合わせて、ももえママと同じぐらい(ふくよかさが)に見えた。

気取った料理は無いが、すべて手をかけた優しい味、煮物や小鉢、どれもうまい。

淀みのない流れる様な京都弁で客あしらいも見事なもの、店の中は満員だ。

焼酎を飲んで30分もするとMくんは前傾姿勢になり、帰りたい体制に。もうだいぶ出来あがって来たようだ。

このままいると酔い潰れて、お気に入りのももえママにみっともないところを見せてしまいそうだ、という防衛本能が働いているのだろう。

「なんだ、もう帰るのか?じゃあ、帰っぺ!」と言って店を出た。

千鳥足で四条通を渡り、Mくんの事務所のある四条高倉の角で別れた。

ちょっと足取りが心配だったが、こどもじゃないんだから、この歳して酔っ払いの介抱もないだろうと、おっぱなした。

「おまえ、だいたい早く飲み過ぎなんだよ!」と言うとMくん、「こんな風に飲める奴が居ないんだよ~」と言ってふらふらと通りの奥に消えて行った。

もう40年以上も前になる、この街で何度Mくんと酔いつぶれた事か・・・・。

人間、幾つになっても寂しい時は寂しいし辛い時は辛い、飲みたい時は飲みたいもの、潰れたい夜があるものなのだ、と思った暑い京都の色気ない一夜の出来事でした。

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