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2017年3月27日 (月)

見えない力

日曜の夕方は大興奮した。

横綱・稀勢の里が99.999%は無理!とまで言われた予想を覆して、優勝してしまったからだ。

正直、私も十四日目の鶴竜戦を見て絶対に無理だと思っていたので、驚いた。

解説の北の富士さんも舞の海さんも、出るだけで勝つのはとても無理でしょう、と取り組みの前から消沈気味だった。

おそらくは日本中の誰もが同じ思いだったに違いない。(相撲を見ている人)

十三日目に日馬富士と取って土俵下に転落したあとの痛がりようは尋常ではなかった。花道を下がる時にも思わず唸り声が出ていたほどだ。

一体どこを怪我したのか、それも言わない。肩なのか腕なのか、てっきり脱臼かと思ったがそうではなさそうだ。

あの痛がりようで、休場しないという事にまず驚いた。そして鶴竜に軽く押し切られた時にはやっぱり休場だよな、と誰もが思ったと思う。

「十四日目に休場しなかったのだから、千秋楽に休場するわけにもいかないだろう・・・」と、家人に言った。「千秋楽に休場して照ノ富士が不戦勝で優勝なんて事になったら全くしまらない。だったら十四日目に休めよ!ってことになっちゃうもんなぁ・・・」

そして千秋楽本割、負ければ照ノ富士の優勝だけれども、まぁそれで良いんじゃない?とほとんどの人は思ったに違いない。

いよいよ立ち会い、一度立つには立ったが立ち合い不成立で「まだまだ!まだ!」、この時に稀勢の里が右に変わるのがバレてしまった。

今度はどうする?とはいってもまともに当たったんでは勝機はゼロだ。次は左に変わり気味に立った。

互いに組み合い、稀勢の里が左をこじ入れようとするが、痛そう。

まるで痛い痛い!とでもいうように左に回った稀勢の里、最後は「もう、痛いからやめて!」みたいな感じで照ノ富士を土俵際まで引き回し、ドーンと右で突き落としてしまった。

場内大歓声!信じられない!を繰り返す解説者。

結びの一番、鶴竜が勝った後の大一番、「優勝決定戦にござりまする~」

東から上がった稀勢の里、西から上がった照ノ富士、大歓声の中制限時間一杯、立ち合いでまた照ノ富士が一瞬早く突っかけ、「待った!」

もう一度仕切る。どうするんだ稀勢の里?

両者見合って手を下ろす。その時、場内が一瞬水を打ったように静かになった。何の音もしない。

その瞬間、「のこった!のこった!」と言う甲高い行司の声が響き、稀勢の里は照ノ富士をガシッと受け止めると土俵際へ押し込み、渾身の右の小手投げがさく裂、照ノ富士は崩れ落ち、稀勢の里もまた遅れて土俵下へと転がり落ちた。

体育館の天井が抜けんばかりの大歓声が巻き起こる。普通の決定戦とは違い座布団一枚飛ばない場内、感動が場内の空気を大きく揺るがした。

我が家のテレビ前の桟敷席でも、家人、娘、孫と私、みんなで町内に響き渡るほどの歓声と拍手を贈った。

孫は訳が分からずにぴょんぴょん跳ねる。

「上はダメでも下は元気なんでね・・・」稀勢の里はNHKのスポーツニュースでこともなげに言う。そして「お見苦しいところをお見せしました」と君が代斉唱の際に溢れた涙に照れた。

相撲を見て涙が出たのはおそらく初めてだ。まんざら歳のせいばかりでもない、それほどに素晴らしい相撲だった。

新横綱・稀勢の里が見えない力に押されたようだと語った大阪場所の十五日間が終わった。

さて、五月の夏場所にはぜひ応援に行きたいものだが、これでゴールデンがプラチナになってしまったチケット、取れれば良いなぁ、と願っている。

会津は彼岸も過ぎたというのに朝からの雪、なごり雪と言うにはあまりにも冷たい本格的な降り方だ。

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