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2017年2月17日 (金)

かさぶた

「生と死を考える会・会津」の二月の学習会はNPO法人の寺子屋方丈舎理事長の江川和弥さんを招いて「会津のこどもの貧困の現状を知る」と題して講演を聞いた。

今、全国的にも話題になっている「こども食堂」を運営している江川さんは、その現状も紹介してくれた。

講師なので先生、と呼んだ方が良いのかもしれないが、私と江川さんは「江川くん」と呼ぶ方がしっくりくる。

大学を卒業後、彼が社会人として初めてついた仕事の上司が私だったからだ。タウン誌を作る仕事を教え、任せて来た。

学習会の最後のあいさつでも話したが、若い日、仕事をする(覚える)に当たっても何事もよく立ち止まって、納得するまで考えるそんな男だった。

良く言えば慎重であり思慮深いともいえるが、反対から見ればドン臭い(江川くんが自分で言いました)一面があった。

その後、互いにステージが分かれ、彼は教育委員会関係の仕事を学び、20年近く前に不登校の子供たちのためのフリースクール「寺小屋方丈舎」を立ち上げた。

その活動はしばしば報道などで目にしていたが、その度に彼は彼なりに一番良い「居場所」を見つけたんだと感じていた。

案の定、というか思った通りというか、フリーススクールにとどまらずこども達の未来を守る様々な活動の輪を広げて行き、今やその世界では全国区の有名人となっている。

今回は当会の事務局長のKさんが江川くんの講演に心を打たれ、勉強会にお呼びする事になった。

当日、前の会合があったので時間ギリギリに行ったが、江川くんが「実は私、会長さんの元部下だったんです」と話していたらしく、会員・役員のみなさんは少し驚いた様子だった。

わずか1時間の講演だったが、江川くんは相変わらずよく通る良い声で、内容も明快だった。初めて知る事も沢山あった。

会津若松市の生活保護受給率は人口比で県内トップであるという事実。生保の子どもさんは百数十名(要保護)だが、学費や学用品の補助を受けている義務教育のこどもは1300人(準要保護)に達しているという事実。

貧困と貧乏は違う事。貧困やDV、片親家庭など様々なマイナス因子によってこども達の成長の機会が奪われている事。「孤立・孤独」が負の連鎖を生み重大な事件事故につながってしまう事、などなど。

一見しただけでは貧困のこども(何事かに困窮しているこども)は全く分からないという。スマフォを持ち、普通と全く変わらない服を着て笑っている。

その陰に隠れた「孤立と孤独」、その負の連鎖にくさびを打ち込むのがこども食堂だ。

こども食堂は食べるに困っている貧乏なこども達のためのものではない。

独りで過ごさなければならないこども、独りで食事をしなければならないこども、独りで誰かを待ち続けるこども、そんなこども達と一緒に過ごし、ご飯を作り、話し笑い、食べる。

ボランティアとの交流を通して大人たちの生き方も見せる。そんな場だ。

小さな事のように思えるが、そうした事のひとつひとつがこどもの心に何らかの変化をもたらしていくことは間違いない。

「そんなこども達が様々な機会を奪われて大きくなってまた生活保護を受けるようになるのか、反対に抜け出して自立し納税者になるかは大変な違いです!」

こども食堂はボランティアによって運営されている。十代から七十代まで様々な出来る事を持ち寄ってこども達を見守る。

現在市内で3軒、今年中に福島県内で30軒のこども食堂が運営されていく事を目指すという。

江川くんは「我々の仕事は傷口に、寄ってたかって集まってなんとか治していく。傷口が広がらないように手当をしてく、そんな仕事です。」と言っていた。

条例、法律、規則、そんな事に足を引っ張られてばかりでなく、とにかく出来る事をする!やってみる!それが大事だとも言っていた。

そしてこれまでやってきた事の9割は失敗で怒られてばっかり来たのだとも。

それでもへこたれずに手を差し伸べる勇気、周りを見渡してから考えるのではなく、一番困っている人を真っ直ぐ見て行動する事の大事さを教わった。

傷口に集まる人々、人を助ける事が出来るのは人でしかない。そして孤立、孤独からこどもを救えるのはコミュニティの力しかない。

責任の一端は我々にもあるという事だ。

その傷口にみんなが集まりかさぶたができて。やがて傷が癒えてかさぶたが自然にはがれおちる、そんな日が来ることが一番望ましい。

かさぶたばかりが増えて、真黒になってしまうようなそんな世の中にしてはいけないという事だ。

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