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2017年1月 9日 (月)

健さん!

郡山でも米沢でも見られない映画を上映している映画館がある。

ドキュメンタリーや自主製作映画、海外や国内の大きなマーケットではかからない映画、そんな通好みの映画だけを上映している映画館が新潟万代シティにある。

「シネ・ウィンド」がそれだ。

客席は百席足らず。一番前には座って見られる(横になっても見られる)桟敷席がある。前方にはコート掛けや、座布団、ひざかけなどがあり、どうぞご自由にお使い下さいとなっている。

そのアットホームな雰囲気だけでも、いかに通好みか分かろうというものだ。

そのシネ・ウィンドにこの正月から、「健さん」と言う映画が掛っている。

言わずと知れた高倉健の健さん!

日比遊一という監督の撮ったドキュメンタリー、各界のインタビューで構成された映画だ。

今、東京駅のギャラリーでは「高倉健展」をやっている。これも機会があれば行きたいと目論んでいたが、どうも終日までに行けそうもない。

自称・高倉健ファンとしてはせめて映画でもと思い、出かけて来た。

会津を9時に出て、早めの食事をして12時10分からの回を見た。

マーティン・スコセッシ、ジョン・ウ―、マイケル・ダグラス、山田洋二など20数名が語り、紡ぎ上げて行く真の高倉健像。

江利ちえみさんは45歳で亡くなったんだとか、健さんの家が全焼したんだとか、改めて思い出した事もあったが、これまでに語られていない高倉健像と言うのは多くはなかった。

「偉大なスターでありながらとても謙虚」「存在だけで場の空気を変えてしまう」「誰もが一度は仕事をしてみたい名優」・・・などなど。全編、健さんべた褒めだ。

あんなに褒められたら健さんも草葉の陰で照れているんじゃないかと思った。

『そんな立派な男じゃないよ、さんざんやんちゃもやってきたし・・・第一、高倉健の演技が素晴らしいなんて、生前言われた事ないし・・・』みたいな事言っているんじゃないかと思ったりもした。

健さんは健さん、何をやっても健さんになってしまう。刑事をやってもヤクザをやっても、鉄道員をやっても居酒屋の店主をやっても、健さんだ。

逆の意味で演技派と言えるのかもしれない。

1時間と少し、そう長くはない映画の最後にスコセッシ監督がカメラに向かって「健さん、あなたは素晴らしい、もっと一緒に仕事をしたかった!」という様な事を言う。

まるでお葬式の弔辞の様な持ち上げ方だ。そして最後に「健さん!」と呼びかける。

それに続いて出演者全員が次々とカメラに向かって「健さん!」と呼びかける。「健さん!」「高倉さん!」と呼びかける。

その呼び掛けの声に、それまで全く悲しくもなんともなかったのに急に、涙が出て止まらなくなった。

大好きなあの健さんは死んだんだ!と改めて思い知った。そしてそれは、やっぱり悲しいことだった。

なんだか、映画を見たというよりも高倉健のお葬式に参列したような気分になり、妙にしんみりしてしまった。

それも、まるで身内を見送った時のように・・・・。

帰りの磐越道の冬ざれた景色、、、心に沁みて、にじんだ。

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