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2016年10月 2日 (日)

老いて益々

映画「ハドソン川の奇跡」(原題は「Sully」)あのハドソン川に不時着して乗客全員が助かったという事故を描いた映画、タイトルからどうせアメリカンヒーローを称える映画だろうと、あまり観る気も起らなかったのだが、監督があのクリント・イーストウッドだと知って、俄然、観る気になった。

ダーティ・ハリーでおなじみのクリント・イーストウッド。

監督としては「許されざる者」(1992)でアカデミー賞を獲った事ぐらいは知っていたが、特に心惹かれる作品でもなかった。

むしろ「マディソン郡の橋」(1995)では、自身が主演するにはあまりにおじいちゃん過ぎるだろう、と批判的だったくらいだ。

で、特に気にもかけなかったのだが何の気なしに観た映画「ミスティック・リバー」(2003)で凄い衝撃を受けた。なんと見事な作品、これぞ映画だ!といっぺんで彼のファンになった。

以来、彼の作品は封切られるごとに見続けている。

多作なので好みの差はあるが「ミリオンダラー・ベイビー」(2004)「硫黄島からの手紙」(2005)「グラン・トリノ」(2008)「インビクタス/負けざる者たち」(2009)「アメリカン・スナイパー」(2014)「ジャージー・ボーイズ」(2014)などは特に心に残る名作、秀作だ。

彼は1930年生まれだから今年83歳と高齢だ。しかし、その創作意欲は全く衰えていない。監督だけでなく制作や音楽までも手掛ける。

何かの雑誌で読んだが、父親、母親も長寿で、自分は長寿の家系だからまだまだやれる、と語っていた。確かにそうだろう。

「ハドソン川の奇跡」が封切りされたので久しぶりの買い物も兼ね、新潟へ観に行った。

いつもの万代橋のシネコン、Tジョイは椅子が大きく非常にゆったりしており、私のサイズには実に快適だ。

前日少々飲み過ぎたので、居眠りしてしまうのではなかろうか、との不安も多少あったが、そんなのは見事に吹き飛んだ。

バードストライク(鳥との衝突)で両エンジンが停止、空港へは引き返さずにハドソン川への着水を選択した機長の物語。

真冬のハドソン川に着水し乗客乗員155名、全員が助かった。だが・・・。

なんという構成力、テンポの良さ、事故だけに焦点を当て、余計なぜい肉をすべて削ぎ落とした激走の96分。お見事!

名優トム・ハンクス、アーロン・エッカートの演技も光るが、二人が番宣番組で語っていた「ダーティ・ハリーには逆らえないよ・・・」の言葉通り、監督クリントの腕が冴えわたっている。

世に名監督と呼ばれる人は多いが、いずれも年齢と共に老成し円熟味を増すというのが常だ。

晩年の黒澤明監督もそうだった。今なお盛んな山田洋二監督もそういう感じが漂う。

ところがクリント・イーストウッドだけは違う。あのスピード感、様々なテーマに挑戦し続ける野心的な映像など、微塵も年齢を感じさせない。

『どうなっての?ジイさん!』 嬉しい突っ込みを入れたくなるような出来栄えだ。

こういう人がいるんだなぁ、と思うとこの歳で「老いだ、老いだ」などと言っている自分が恥ずかしくなる。

あやからなけれないけない。

帰り道は、行きよりも15分ぐらい早く会津に着いた気がする。

少しも眠くならなかった。きっと少しアドレナリンが出てアクセルを踏み込んでいたのだろう。

ちなみにではあるが、クリント・イーストウッドは何度かの結婚をし、5人の女性との間に7人の子どもがいる・・・『英雄色を好む』も当てはまる映画界のヒーローだ。

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