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2014年8月 4日 (月)

全部読んでる

先日、会高同窓会の幹事会でお逢いしたU先輩、高校の前身、会津中学の卒業だから大先輩だ。

80歳を過ぎてなおかくしゃくとされて声が大きい。あいさつの際も明快で短い、頭がクリアな証拠だ。

その大先輩の健康の秘密は、特にこれということはしていらっしゃらないそうだが、社会との関わりを持ち続けることだそうだ。

もう何年も前から視覚障害者のための朗読ボランティアを続けていらっしゃるという。

本や雑誌など印刷物を朗読して、テープに吹き込み視覚障害の方に届けるのだそうだ。

一番リクエストの多いのが市政だより、当然だろう、会津若松市で暮らしていくうえでの重要な情報が詰まっている。

「そのほかには?」とお聞きすると「僕は会津嶺を読むんだよ」という。

私が30年以上前に創刊にかかわり、編集長を務めた会津のタウン誌だ。

その会津嶺を初めから最後まで一字一句漏らさず読むのだそうだ。さらにそれを聞いて校正するボランティアの方がいて、読み違いを訂正して録音し直し、そうやって完成品がようやく視覚障害の方に届けられるのだという。

あたやおろそかに本づくりをしているわけではないだろうが、こういう人がいるのだから仕事というものはしっかりやらなくてはいけない、と改めて思う。

タウン誌一冊を初めから最後まで全部読んでいる人がちゃんと居るのだ。

「じゃぁ、この間私が書いたの読みました?」実は数ヶ月前に30周年とかで寄稿を頼まれたのだ。

「もちろん読みましたとも!」

そこには「ただ読んだ」だけじゃなく一字一句丁寧に読みましたよ、というプレッシャーがある。

「文章にも読みやすいのと読みにくいのってあるでしょうね?」「ああ、もちろんあるね」「私のはどうでしたか?」「あなたのは読みやすい、調子が良い」 ほっ!

文章にリズム感があり、頭に入り易いのだろうと適当に拡大解釈をして自己満足。

活字になるものは怖い、とはよく聞く話だが本当だ。活字になったものは長く残るし、まわりまわってどこで誰が目にするか(耳にするか)分からない。

視覚障害者の方は私とすれ違っても決して分からないだろうけれど、実は「あなたの書いたの読みましたよ」という人が、市内だけでも確実に何十人か居るということだ。

作る側の励みにもなるだろう。そして書く側の気を引き締める材料にもなる。

これは印刷物だけの話ではない、世の中は広く、風が吹けば桶屋が儲かる、というように人の世は分からないところでぐるぐると回り回って、つながっているということなのだ。

どうせだれも見ちゃいない・・・と思ってしているいろいろな事・・・どこかで見られてますよ、あなた。

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